第16回 働く人の意識調査  

公益財団法人日本生産性本部(東京都千代田区、理事長:前田和敬)は1月30日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第16回「働く人の意識調査」)結果を取りまとめ、公表しました。本調査は、組織で働く雇用者を対象に、勤め先への信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて、2020年5月以降、四半期毎(2023年7月調査より6か月に一回へ変更)にアンケートで実施しているものです。16回目となる今回は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行してから約1年8か月が経過した一方、インフルエンザの感染者数が現在の統計開始後で最多を記録した1月6日(月)~7日(火)、20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている者(雇用者=就業者から自営業者、家族従業者等を除いたもの)1,100名を対象にインターネットを通じて行いました。調査結果から、テレワークの実施率は14.6%で過去最低を更新しました。また、テレワークの大半を占める自宅勤務制度について、実施していない者のうち実施を希望する割合は36.9%となりました。主な特徴は以下の通りです。

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【第16回「働く人の意識調査」主な特徴】(詳細や図表は別添「調査結果レポート」参照)

1. 現況:景況感は「どちらとも言えない」が微増、感染不安は増加に反転(図2~9)

  • ・現在の景況感について、「悪い」「やや悪い」の合計が前回2024年7月調査の59.9%から59.0%へと微減した一方、「良い」「やや良い」の合計も前回調査の9.8%から8.8%へと微減(図2)。
  • ・自身が新型コロナに感染する不安について「かなり不安を感じている」が9.1%、「やや不安を感じている」が39.8%と、ともに調査開始以来最小であった前回2024年7月調査から反転(図5)。

 

2. 働く人の意識の変化:職場における生産性向上の取り組みは「効率化」が上位(図10~18)

  • ・最近1年間での職場における生産性向上の取り組みについては、「業務の進め方の効率化」(「当てはまる」「やや当てはまる」計)が38.4%と最多。「情報共有の推進」(36.2%)、「コストの削減」(35.9%)と生産性(産出÷投入)の「投入」を削減する「効率化」の取り組みが上位を占める。一方で、「産出」を増大し、付加価値を高める「商品やサービスの改善(社内向けサービスを含む)」は29.3%、「新商品や新サービスの導入(同)」は26.4%(図16)。

 

3. キャリア形成と人材育成:転職意向は4割弱で推移(図19~33)

  • ・現在転職を考えているかを質問したところ、「転職をするつもりはない」が61.0%で最多。転職意向(「転職をしたいと考えており、現在転職活動をしている」「いずれ転職をしたいと思っている」の計)は39.0%と前回2024年1月調査(36.3%)に続き4割弱で推移(図29)。

 

4. 働き方の変化:テレワーク実施率は過去最低を更新、自宅勤務の実施希望は4割以下(図34~46)

    • ・テレワークの実施率は前回2024年7月調査(16.3%)から14.6%に微減し、過去最低を更新(図35)。いずれの従業員規模でも微減(図36)。年代別では、20代のみ微増(16.5%)(図37)。
    • ・自宅勤務制度について、23.3%が「制度を利用できる」(「自宅勤務実施者」「制度があり自分も利用できる」計)と回答。一方で「制度を利用できない」(「制度はあるが自分は利用できない」「制度がなくなった・利用できなくなった」「以前から職場に制度がない」計)は59.3%(図44)。
    • ・自宅勤務を実施していない回答者のうち、自宅勤務を「実施希望」(「そう思う」と「どちらかと言えばそう思う」計)は36.9%に対し、「実施したくない」(「そう思わない」「どちらかと言えばそう思わない」計)は63.1%と「実施希望」を上回った(図45)。

【「働く人の意識調査」概要】

公表日調査期間タイトル調査期間の特徴
第1回
2020年5月22日
2020年
5月11日~13日
労使の堅固な信頼関係の再構築と「新しい生活様式」に向けた意識改革を初の緊急事態宣言発出(4月7日)から1か月半
第2回
2020年7月21日
2020年
7月6日~7日
組織の生産性向上につながる労使の信頼関係の再構築を緊急事態解除(5月25日)から1か月半
第3回
2020年10月16日
2020年
10月5日~7日
人的資本への積極投資を。テレワークは一定程度定着の兆し「GoToトラベル」等積極的経済活動再開から3か月
第4回
2021年1月22日
2021年
1月12日~13日
組織の健康配慮が行動変容を後押し、社会経済システムや組織への信頼強化を二度目の緊急事態宣言発出(1月7日)直後
第5回
2021年4月22日
2021年
4月12日~13日
行動や働き方の変容には、宣言・措置よりも労使による積極的取り組みと課題解決を一部地域に「まん延防止等重点措置」適用(4月5日)直後
第6回
2021年7月16日
2021年
7月5~6日
ポストコロナの社会・経済変化に懐疑的、コロナ以前に回帰か。「テレワーク疲れ」に注視を東京オリンピック・パラリンピック開催まで約3週間
第7回
2021年10月21日
2021年
10月11日~12日
テレワーク実施率、宣言・措置解除後も約2割で推移国による緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の解除後、約10日が経過
第8回
2022年1月27日
2022年
1月17日~18日
テレワーク実施率は過去最低の18.5%、中堅・大企業の実施率低下が影響感染力の強いオミクロン株による新規感染者が急増、まん延防止等重点措置、3県適用中、13都県適用直前
第9回
2022年4月22日
2022年
4月11日~12日
テレワーク実施率は約2割で推移、在宅勤務の満足度は過去最高に国によるまん延防止等重点措置の解除後、約3週間が経過し第7波の予兆を懸念
第10回
2022年7月25日
2022年
7月4日~5日
テレワーク実施率は16.2%と過去最低を更新、20代・30代の実施率が大幅減訪日外国人客の受け入れが2年ぶり再開。国際情勢は緊迫。円安や、原材料価格高騰などで消費者物価が上昇
第11回
2022年10月28日
2022年
10月11日~12日
感染不安は薄れる傾向が続く、テレワーク実施率は17.2%と低調に推移原材料価格高騰や円安が進行し、消費者物価は上昇傾向。円が32年ぶりに1ドル=150円を割り込む。政府・日銀は24年ぶりに市場介入
第12回
2023年1月27日
2023年
1月10日~11日
第8波到来で感染不安高まる、テレワーク実施率は16.8%と過去最低に近く原材料価格の高騰による光熱費、日用品、食品などの値上げが続く。中国当局が日本人向けのビザ発給を一時停止
第13回
2023年8月7日
2023年
7月10日~11日
「5類」移行で感染不安は減少、テレワークは大企業の実施率低下で過去最低に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行してから約2か月が経過
第14回
2024年2月7日
2024年
1月9日~10日
現在の景気は「悪い」が再び増加、テレワーク実施率は14.8%と過去最低を更新令和6年能登半島地震、羽田空港航空機衝突事故から1週間経過
第15回
2024年7月29日
2024年
7月8日~9日
今後の景気は悲観的見通しが5割に迫る、テレワーク実施率は16.3%に増加歴史的な円安・物価高が続く中で日経平均株価・TOPIXは過去最高値を更新。20年ぶり新紙幣発行
第16回
2025年1月30日
2025年
1月6日~7日
テレワーク実施率は14.6%で過去最低を更新、自宅勤務の実施希望は4割以下新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」に移行してから約1年8か月経過。石破内閣発足から約3か月経過
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公益財団法人 日本生産性本部 生産性総合研究センター(担当:長田)