第14回 働く人の意識調査 現在の景気は「悪い」が再び増加、テレワーク実施率は14.8%と過去最低を更新(日本生産性本部)

公益財団法人 日本生産性本部(東京都千代田区、理事長:前田和敬)は2月7日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第14回「働く人の意識調査」)結果を取りまとめ、公表しました。本調査は、組織で働く雇用者を対象に、勤め先への信頼度や雇用・働き方に対する考え方などについて、2020年5月以降、四半期毎(前回7月調査より6か月に一回へ変更)にアンケートにより実施しているものです。14回目となる今回は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行してから約8か月が経過した1月9日(火)~10日(水)、20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている者(雇用者=就業者から自営業者、家族従業者等を除いたもの)1,100名を対象にインターネットを通じて行いました。調査結果から、現在の景況感について「悪い」「やや悪い」の合計が再び増加に転じるなど悲観的な見通しが増しており、また、テレワークの実施率が14.8%と過去最低を更新しました。主な特徴は以下の通りです。

【第14回「働く人の意識調査」主な特徴】(詳細や図表は別添「調査結果レポート」参照)

1. 現況:景況感「悪い」が再び増加、景気見通しは「どちらとも言えない」「悪い」が微増(図2~17)

  • ・現在の景気について、「悪い」「やや悪い」の合計が60.9%と再び増加(前回7月調査:54.6%、2023年1月調査:76.1%)。今後の景気見通しは、「悪くなる」「やや悪くなる」の合計が微増する一方、「どちらとも言えない」も微増し、先行きの不透明感が増している(図2,3)。
  • ・自身が新型コロナに感染する不安については、「かなり不安を感じている」(10.0%)、「やや不安を感じている」(35.8%)と、ともに調査開始以降最小を更新(図5)。

 

2. キャリア形成と人材育成:自身の市場価値「わからない」4分の1超、転職意向にも差(図19~33)

  • ・「あなたに勤め先から支払われている給与はあなたのキャリアや能力、成果から見て、世の中の相場に見合っていると思うか」について、「相場より低いと思う」が36.0%と最多。一方、「わからない」は28.1%と2022年7月調査から引き続き約4分の1を占める。年代別では、20代、30代の3割以上が「わからない」と回答(図26,28)。
  • ・転職意向について、「転職をするつもりはない」が63.7%と最多。業種別では「転職をしたいと考えている」割合の最多は「公務」44.6%で、「医療、福祉」39.8%、「製造業」39.1%と続く(図30)。
  • ・「給与が相場に見合っているかわからない」雇用者の「転職をしたいと考えている」割合は19.8%であるのに対し、「相場よりも低いと思う」雇用者では50.5%と大きな差が生じた(図32)。

 

3. 働き方の変化:テレワーク実施率は過去最低を更新、中・小規模企業の実施率低下(図18,34~43)

    • ・テレワークの実施率は前回7月調査の15.5%から14.8%に減少し、過去最低を更新(図35)。従業員規模別では、1,001名以上の勤め先で増加したが、中・小規模企業の実施率は低下(図36)。年代別では30代が減少(図37)。
    • ・今後もテレワークを行いたいかについて、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計は、前回7月調査の86.4%から78.5%へと減少(図43)。
    • ・職場での生産性向上への取り組みの実施率をテレワーカー・非テレワーカー別にみると、全項目でテレワーカーの実施率が非テレワーカーを大きく上回る(図18)。

【「働く人の意識調査」概要】

公表日調査期間タイトル調査期間の特徴
第1回
2020年5月22日
2020年
5月11日~13日
労使の堅固な信頼関係の再構築と「新しい生活様式」に向けた意識改革を初の緊急事態宣言発出(4月7日)から1か月半
第2回
2020年7月21日
2020年
7月6日~7日
組織の生産性向上につながる労使の信頼関係の再構築を緊急事態解除(5月25日)から1か月半
第3回
2020年10月16日
2020年
10月5日~7日
人的資本への積極投資を。テレワークは一定程度定着の兆し「GoToトラベル」等積極的経済活動再開から3か月
第4回
2021年1月22日
2021年
1月12日~13日
組織の健康配慮が行動変容を後押し、社会経済システムや組織への信頼強化を二度目の緊急事態宣言発出(1月7日)直後
第5回
2021年4月22日
2021年
4月12日~13日
行動や働き方の変容には、宣言・措置よりも労使による積極的取り組みと課題解決を一部地域に「まん延防止等重点措置」適用(4月5日)直後
第6回
2021年7月16日
2021年
7月5~6日
ポストコロナの社会・経済変化に懐疑的、コロナ以前に回帰か。「テレワーク疲れ」に注視を東京オリンピック・パラリンピック開催まで約3週間
第7回
2021年10月21日
2021年
10月11日~12日
テレワーク実施率、宣言・措置解除後も約2割で推移国による緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の解除後、約10日が経過
第8回
2022年1月27日
2022年
1月17日~18日
テレワーク実施率は過去最低の18.5%、中堅・大企業の実施率低下が影響感染力の強いオミクロン株による新規感染者が急増、まん延防止等重点措置、3県適用中、13都県適用直前
第9回
2022年4月22日
2022年
4月11日~12日
テレワーク実施率は約2割で推移、在宅勤務の満足度は過去最高に国によるまん延防止等重点措置の解除後、約3週間が経過し第7波の予兆を懸念
第10回
2022年7月25日
2022年
7月4日~5日
テレワーク実施率は16.2%と過去最低を更新、20代・30代の実施率が大幅減訪日外国人客の受け入れが2年ぶり再開。国際情勢は緊迫。円安や、原材料価格高騰などで消費者物価が上昇
第11回
2022年10月28日
2022年
10月11日~12日
感染不安は薄れる傾向が続く、テレワーク実施率は17.2%と低調に推移原材料価格高騰や円安が進行し、消費者物価は上昇傾向。円が32年ぶりに1ドル=150円を割り込む。政府・日銀は24年ぶりに市場介入
第12回
2023年1月27日
2023年
1月10日~11日
第8波到来で感染不安高まる、テレワーク実施率は16.8%と過去最低に近く原材料価格の高騰による光熱費、日用品、食品などの値上げが続く。中国当局が日本人向けのビザ発給を一時停止
第13回
2023年8月7日
2023年
7月10日~11日
「5類」移行で感染不安は減少、テレワークは大企業の実施率低下で過去最低に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行してから約2か月が経過
第14回
2024年2月7日
2024年
1月9日~10日
現在の景気は「悪い」が再び増加、テレワーク実施率は14.8%と過去最低を更新新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行してから約8か月、令和6年能登半島地震、羽田空港航空機衝突事故から1週間経過
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